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「Nothing but a dream」 Keith Jarrett

大好きなSamuel Barberの作品をこれまた大好きなキースの演奏で聴ける、
ということで、Amazonでこのディスクを見つけた瞬間にポチりました。

Barber ピアノ協奏曲他

http://www.amazon.co.jp/Barber-Bartok-Concertos-Keith-Jarrett/dp/B00UY3RWVI/ref=sr_1_3?ie=UTF8&qid=1434209075&sr=8-3&keywords=keith+jarrett

クラシックファンがこのCDにおけるキースの演奏を聴くと、
特にオケとのアンサンブルの面から雑な印象を拭えないかもしれません。
でも私は近現代作品にも果敢に挑戦していたキースの存在そのものに
憧れているので、細かいことは気にしません。
キースの熱演を感じ取れる魅力的な企画だと思いました。
ただ、バーバーの作品でまだ聴いたことのなかったこの作品を
初めて聴いた印象は、当時の作品としては中途半端な曲調で、
セリーなんかで盛り上がっていた時代におけるバーバーの苦悩の
ような何か、を感じる作品でした。 2楽章だけはちょっと好きかも。
バーバーの初期の声楽曲といくつかのピアノ独奏曲に見られる歌心と
緻密さと美しさは大好きなのですが、この作品自体にはあまり共感できませんでした。

そんなこともあってか、このCDの最後に収められている小さな曲、
「Nothing but a dream」を聴いていたら、バーバーのことはどこかに飛んでいってしまい、
昔の出会い、Jazzピアニストの二野明君のことを思い出してしまいました。


彼とは同じ大学の同じ学科で学ぶ関係でした。
1年間だけでしたが、ピアノの先生が一緒で、
同じ時間に一緒にレッスンを受けていたことがあります。
作曲専攻だった彼は、レッスンで弾く曲を自由に選ぶことができ、
初めてのレッスンにラヴェルのソナチネの1楽章を持って来ました。
普段滅多に学生を褒めたりしないS先生が
二野君を褒めていたことを覚えています。
他にも、ヒンデミットのルードゥストナリスについて
先生に意見を求めたりしていました。近現代作品に造詣が
深かった人です。
意外だったのは、ちょっと古典寄りともいえるフォーレの室内楽に
入れ込んでいたことです。特にピアノ五重奏曲を絶賛していました。
旋律の美しさや機能和声の美しい響きを決して捨てなかった、
ロマンチックな感性を持った人だったように思います。

学校の近くの大きな飲み屋さん(あの当時、確か「マシーの店」と
呼んでいたように思います)でピアノ弾きのアルバイトを
していたこともあります。ここではキースジャレットまがいの
美しめの即興演奏をメインにしながら、自由に弾いていました。
一度お客さんに「真面目に演れ!」と怒られたことがあると
話していましたが、大方楽しんでいたようです。

学校に行くと、彼はいつもピアノを弾いていました。
1階の大きな講義室にある、古くて鍵盤のとても重い、
小さなグランドピアノの前に座っていることが多かったです。
本当にピアノが好きな人でした。

彼の下宿で語り合うことも何度かありましたが、
夜中の話題は専らJAZZでした。
ビルエヴァンスやキースジャレットなど、
ピアニストの話題が多かったように記憶しています。
部屋には、Bill Evansの「Undercurrent」 と、確かビリーホリデイの
「At Jazz At The Philharmonic」のLPジャケットが
飾られていたように記憶しています。
それから、ジミーペイジが大好きでした。
レスポールのコピーモデルが部屋の隅に置かれていて、
時々ツェッペリンの真似事をしていました。
一度古町あたりのライブハウスでツェッペリンのコピーバンドのライブ
が開催され、聴きに行ったことがあるのですが、
内容は惨憺たるものでした(笑)。

私の卒業演奏の時、彼が伴奏を引き受けてくれました。
お礼にToni Harperの「Night Mood」のCDをプレゼントしました。
もう1枚、Ethel Ennis の「Eyes for you」も渡そうと思っていたのですが、
N駅近くにあった「石丸電気」は売り切れ。ここにないと
他の店にはもうないはず。そんな時代でした。
結局お礼は1枚のみとなりました。

・・・

彼が亡くなる1年ほど前、Facebookのメッセージで「声が聞きたい・・・」と
言われたのですが、私から電話をかけることができませんでした。
あの当時のある出来事が今でも心の奥底に引っかかっており、
彼に声をかけることを躊躇ってしまいました。
このことが悔やまれてなりません。
彼の死を知った時、未だ大人になれていない自分に嫌悪を覚えました。

・・・・・

「Nothing but a dream」は、一見まったりとした美しいアレンジによる演奏。
でもキース特有のスリリングな「言葉」から、まるで綱渡りを見ているような
緊張感に襲われます。この感覚は自分だけでしょうか。
とても甘い、でも辛い・・・。 そして何度も聴きたくなる、麻薬のような演奏。

私と二野君の関係も、一見楽しくまったりしていましたけど、
少しだけスリリングな所がありました。そのイメージが合致したからこそ、
この曲によって突然私は、数十年前のあの頃に連れて行かれたのです。

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プロフィール

 二代目松四郎

Author: 二代目松四郎


「カメラと動画(+スチル写真)」
「音響と音楽」
「プログラミング」
を主なテーマに活動しています。
映画館と美術館と音楽ホールと
古い街並みが私の学校。

宮城県仙台市在住。

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