Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://tadpolizemedia.blog118.fc2.com/tb.php/250-d924fa68

-件のトラックバック

-件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

「赤いクーペ」 矢野顕子

まず、谷川俊太郎の詩が素晴らしい。
一見、赤いクーペを運転する男の気持ちを淡々と
描いているようだが、その背後に
もっともっと大きくて深い世界を描いていることは
誰が読んでも明白である。
クーペで走り続ける様を通して人生そのものを表している。

小室等のオリジナル演奏を聴いたことがあるが、
とても牧歌的な何かが支配しており、
詩の良さは感じれど特に印象に残るものではなかった。
それが矢野顕子の手にかかって
この歌は恐ろしいほどに大きく生まれ変わっていた。

矢野顕子のピアノパフォーマンスは実に自由である。
ピアノの演奏に対して一般的に持つ印象が
一瞬で破壊されるような冒頭のシンプルな音。
リズムの萌芽を経て次第に形を変え、鉄壁とも言える
演奏とともに洗練された音世界に変化していく。
矢野の他の弾き語りのアルバムとは対照的なこのアルバムでは、
一見乱暴で雑で探るような演奏をしているとも聴き取れるが、
Jazz好きな私にはこちらのほうがツボだ。
そして恐ろしいほどに起伏のある打鍵とは対照的に、
歌声はいつもの通り、まったくのマイペースだ。

静かに同じ音形を奏で続ける、その音は確実に
クーペが走り続ける様を想起させる。実に巧みだ。
決して高速ではない。でも乾いたエンジン音を響かせながら
確実に走り続ける、聴いているとそんな風景が脳裏に描かれる。

「止まれない・・・
 もう・・止まれない・・・
 Uhh・・・止まらない・・赤いクーペ・・・
 止まれない...」

ここではオリジナルの詩を逸脱して、"赤いクーペ" の前に "止まらない" を追加し、
さらに最後に "止まれない" を追加しているが、このくだりにこそ
「人生とは何か」が凝縮されている。
人生は幾多の柵を抱えながら、でも時間は滔々と流れていく。
決して悲しいことだけ、なんてことはない。
きっとたくさんの喜びもそこにあるだろう・・と
説いてくれる。


矢野のこの演奏をどう例えたらよいのだろう。
川原に転がっている角のとれた丸くて小さな石のような音から、
結晶だけからなる彩度の高い刺々しい鉱石のような音までが
瞬時に、そして自在に生まれては消える、ような感じ?
あるいは、画像編集ソフトに乗せた写真のデータに対して
スライドバーやつまみをグリグリ動かしながらエフェクトをかけて
変化する画像の極端な変化を確認しているような感じ・・・? 
うまく表現できない。

Home Girl JourneyHome Girl Journey
(2013/04/10)
矢野顕子

商品詳細を見る


素晴らしい詩が活字のまま存在するもの良いが、
音が付き、歌になることでその詩がとてつもなく大きな何か
に化ける、あるいは全く新しい作品が生まれてしまうことを
あらためて認識させられる作品である。
矢野顕子を見るとき、どんなバイアスをかけても
「巨人」という領域から外れない。

スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://tadpolizemedia.blog118.fc2.com/tb.php/250-d924fa68

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

プロフィール

 二代目松四郎

Author: 二代目松四郎


「カメラと動画(+スチル写真)」
「音響と音楽」
「プログラミング」
を主なテーマに活動しています。
映画館と美術館と音楽ホールと
古い街並みが私の学校。

宮城県仙台市在住。

カテゴリー

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Counter

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。